プロジェクトストーリー

今回は日産スカイラインGT-R（BNR32型）を所有するH様から部品復刻のご依頼を頂きました。

お困りの部品はこちらのフューエルセンダーユニット（フューエルレベルセンサー）。ガソリンタンクに直接取り付く部品です。通常はタンクの蓋としての役目があるのですが、経年劣化によりひび割れを起こし、しばしばガソリン漏れの原因となってしまうとのこと。どうやらR32GT-R定番のトラブルのようです。

腐食したノズル部には複数の亀裂が確認できます。このうような金属と樹脂の複合パーツは修理が難しく、これまでは部品を交換して対応するしかありませんでした。しかしながら現在はメーカーからの部品供給は終了し、良質な中古部品を見つけることも困難となっています。そんなR32GT-Rは今や車検の不適合や火災リスクといった重大な問題に直面しているのです。そこで今回は一から部品を開発し、オーナー様へお届けするプロジェクトを立ち上げることとなりました。

【意匠調査の実施】

まず最初に行うことは意匠調査です。自動車部品に限らず工業製品の多くは、形状・模様・色彩等のデザインを保護するために意匠登録がされています。それらを確認せず安易に部品を複製してしまうと意匠権の侵害となり大きなトラブルに繋がることから、事前に弁理士へ調査依頼をする必要があります。その結果、今回のフューエルセンダーユニットは複製可能であることが分かりました。

【不正競争防止法への抵触について】

部品復刻を行う場合、不正競争防止法における周知表示混同惹起行為(第2条第1項第1号)に抵触する可能性があります。これらは非常に複雑な内容となるため、予め知財専門の弁護士と協議のうえ、最もリスクが少ない方法を取る必要があります。

【サプライヤーの選定】

日本国内では小ロット生産に対応可能なサプライヤーを探すことは難しく、海外製造へと切り替えることとなりました。より最適なサプライヤーを絞り込むため現地へ足を運び、品質確認や価格交渉を行います。当社では台湾や中国を中心とした海外サプライヤーとの繋がりを深めています。

【目標は販売価格10万円以下】

R32GT-Rのフューエルセンダーユニットは、フタ・ノズル・レベルセンサー・フロート・液面センサーなど多数の部品から構成されていることがわかります。これら全てを作り直すと金型費用だけで数千万円かかるため、今回のような小ロット生産では償却することができません。そこで、流用可能な既存の金型を活用することで、最低限の金型開発に留める作戦をとることにしました。センサー抵抗値は純正品と同様の6〜80Ωに設定します。

また、小さなコネクターの複製だけでも驚くほどの手間とコストがかかってしまうことから、フューエルセンダーユニットの一部コネクターを汎用品に置き換えることとしたため、燃料ポンプまでの配線を全て作り直します。

【ついに完成！】

半年以上の開発・試作期間を経てR32GT-Rに使用可能なフューエルセンダーユニットが完成しました。本体の材質は強度と耐ガソリン性に優れるPOMです。当初目標としていた販売価格10万円以下もクリアし、全国のオーナー様へ供給できる体制が整いました。

【実車テスト】

【最初で最後の限定生産】

生産ラインを稼働させるには100個以上のまとまった発注が必要となることから、今後追加生産を行う予定はありません。今回のクラウドファンディングでご支援頂いたお客様分および、不良品の発生を考慮した予備在庫分のみの限定生産となります。ぜひこの機会に新品部品の確保をご検討ください。

【情報共有のお願い】

1人でも多くのR32オーナー様へ部品が行き渡るよう、SNSによる情報拡散のご協力をお願いいたします。部品の購入に限らず、SNSでシェアしていただいた方には特典がございますので、スクショを添付の上、当社公式LINEよりご連絡ください。

【Reパーツプロジェクトとは】

部品を復刻するには専門的な知見や技術に加え、膨大なコストと期間を必要とします。これらの課題に対し、お客様に代わって資金調達から部品開発までをワンストップで行うサービスがReパーツプロジェクトです。復刻したい部品のリクエストを随時募集しておりますので、公式LINEからお気軽にお問い合わせください。LINEのご登録はこちらから

【確認事項】

今回販売する部品は非純正品です。純正部品相当の品質は一切保証出来ませんので予めご了承のうえご購入ください。