【絶版部品!】ヤマハ R1-Z 2ストオイルタンク製作
ヤマハR1-Zはどのようなバイク?
ヤマハR1-Zは名車TZR250のエンジンをベースにした並列2気筒249ccエンジンをスチールトレリスフレームに搭載し、軽量かつ高回転型の特性を生かした設計により、当時(1990年代)の250ccクラスでも群を抜いた完成度を誇ったバイクとして知られています。そして、何を隠そう私自身も過去に所有していた思い出深い1台です。
しかし生産終了から30年以上が経過した現在、状態の良い純正部品の入手は次第に困難となりつつあり、不安を抱えるオーナー様が増えてきているようです。
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当社ではそんなR1-Zを末長くお乗りいただくため、3Dプリント技術を活用し、入手困難となっているオイルタンクを製作しました。複雑な形状や大型造形といった難題を乗り越え、オリジナルに忠実なフォルムを再現。
“失われた名車のパーツを、もう一度ライダーの手に届けたい”――その想いを形にしています。
破損部品の確認
亀裂の確認

タンク本体には複数の亀裂が発生しており、部品自体の耐用年数を超えて使用している状態が確認できます。このように素材が劣化している部品では、部分的に修理をしてもまた新たな亀裂が発生してしまい、最悪火災に繋がるリスクもあることから当社では製作する決断をいたしました。
本体の確認

R1-Zのオイルタンクはフレームやエンジンパーツをうまくかわしながら設置されるため、他のバイクではあまり見かけない細長く複雑な形状をしています。このように長ければ長い部品になるほど、3Dプリント時に歪みが発生しやすくなるため、製作の難易度が高くなります。

更に画像の矢印部分のように非常に薄い箇所が存在します。この部分を中空で造形にするには、設計段階で強度と容積のバランスを最適化する必要があります。
3Dスキャンデータを用いたモデリング作業
3Dスキャンデータ作成

いよいよ作業開始です。まずは3Dスキャン。高精度ブルーレーザースキャナーを使用することで、今回のような大型部品も100分の1mm単位で形状をコピーすることが可能です。

取得した3Dデータを元に、CADデータへ変換します。

続いてこれまでの経験から、3Dプリント時の造形リスクが高い箇所を割り出し、純正部品から形状を変更していきます。しかし、実際に造形しないとわからない部分も多くあるため、設計→造形→設計を何度も繰り返しながら精度を高めていく必要があります。(この作業は時には1ヶ月以上かかる場合もあります)
3Dプリント完成品の確認
表面の仕上がり

今回は液体を入れるタンクという性質上、隙間ができないSLA方式を採用しました。使用するレジンの種類、UV照射時間、角度、層数などきめ細かくコントロールすることで歪みを最小限にとどめ、純正部品を忠実に再現することに成功しました。なお、-FULL-という文字が入っていますが、材質に透明性がないため目視によるオイル量確認はできません。
裏面の仕上がり

造形時に部品本体を支える柱を最小限にすることで、3Dプリント製品には見えない綺麗な外見にすることができます。機能はもちろんですが、たとえ見えない場所だとしても、その部品を所有する満足感も大切だと考えています。

厚みのない部分も形状を大きく崩すことなく再現できています。(←意外と難しい部分です!)
フィッティング確認

完成したタンクをオーナー様へお送りし、バイクに搭載頂きました。

車体や各パーツに干渉することなく組み込むことができましたが、、、

ネジ穴のズレが発覚。再度設計しなおし無事に搭載!今回は製作に2ヶ月以上の時間を要しましたが、オーナー様のご協力によりまた一つ貴重な部品の設計データを作ることができました。弊社ではTZR250、R1-Zの2ストオイルタンク製作を承っております。製作作業は非常に難しく、設計データをもっていても最低1ヶ月は必要となります。納期やお見積り等につきましては、弊社公式LINEよりお気軽にお問い合わせください。また、設計データをもっていない部品に関しましても製作できる場合がございますのでお気軽にお声がけください。
プラスチック・樹脂パーツの修理は丸イへご相談ください!
丸イの公式LINEまたは、お問い合わせフォームよりご相談を承っております。
いずれもお写真だけでお見積りが可能ですので、お気軽にご相談ください!
破損箇所の撮影方法については こちら のページをご確認いただけますとスムーズです。
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